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こちら理容室BLOG

2012.01.05

生き物から学ぶ思いやりの心

新年あけましておめでとうございます。ことしも「こちら理容室BLOG」をよろしくお願い致します。
さて、新年最初のBLOGは<ビジネスで成功する髪型の法則"ビジ髪">を一回お休みしまして元札幌市円山動物園園長 長尾章郎氏のコラムを掲載致します。(長尾先生は園長退任後現在も様々な要職をしておられます。北海道理容美容専門学校で講師もされておりその縁で今回このコラムの掲載を許可して頂きました。)

「仲間への思いやり」
今、私たちの周りでは、子供たちの悲惨な出来事が沢山起きています。小学6年生が、同級生をカッターナイフで傷つける。
二人の女子中学生が同時にそれぞれの両親を殺そうとして自宅に放火する。
23歳の母親が幼い二人の子供を一か月も放置して餓死させるなどという悲しい事件が報道されております。
こんな悲しい出来事を聞くと、私は動物園で教えられた動物たちの仲間を思う優しい姿を思い出します。
今はおりませんが、花子とリリーという二頭のアジアゾウが円山にいた頃、私はゾウの花子の優しさを教えられました。
平成11年の春、リリーが前足二本を怪我しそこにばい菌が入って化膿しました。
体重があるゾウにとって足の怪我は命取りになりますので、
獣医や飼育係の職員が一生懸命治療にあたりました。
しかし、なかなか思う様に治療が進みませんでした。
それは、リリーの足の治療を始めると、元気な花子が怒ってとんできたからです。
花子はリリーが虐められていると思ったのでしょう。
これまでに日本の動物園で、飼育係がゾウに飛ばされて亡くなる悲しい出来事が二件も起きています。
しかし、職員は毎日一生懸命治療にあたりました。でも、万が一花子に飛ばされて亡くならなくても大怪我でもすると、ゾウは危険な動物だから円山では飼育するななどという事になれば、子供たちにあの「素晴らしい生き物」を見せられないという寂しい事になっては困ります。
ある時、リリーが室内にいて元気な花子が外の放牧場にいましたので、今だと境の鉄の扉を閉めてリリーの治療を始めました。
すると花子が怒って扉に体当たりです。あっという間に頑丈な扉が曲がってしまいもう使いものにならなくなりました。
悲しい事に円山の象舎が二頭一緒に飼う構造になっていました。
あれが別々に飼育出来る構造であれば、きっとリリーの怪我も治せたと思います。
その為、みんなで一生懸命知恵を出し合い、花子をエサでつってその合間に治療する事にしました。
花子の好物だったリンゴを小さく切って、飼育係の職員が放牧場の端のほうで花子に与えてる隙に、リリーの足の治療をしました。
しかし、抗生物質を注射する余裕はありません。花子が側を離れない時には、薬を噴霧器で吹き付けるしかありませんでした。
そんな事を約半年続けていましたが、病状は悪くなるばかりでした。
そして、7月7日のお昼頃、リリーが、床に座り込みました。
それまで怪我したリリーは夜も立ったままで寝ていました。
それは足の怪我ですから、床に寝るともう二度と立ち上がれないと解っていたのだと思います。
その時、真っ先に行動したのは花子でした。
なんと倒れたリリーを鼻で一生懸命起こそうとしました。
花子の考えていたことは解ります。ゾウは草食獣で腸が長いのでいつまでも床に寝ていると腸にガスが貯まって死ぬ。助けてやろうと思ったのです。
一晩中やっていました。私もリリーが二歳で円山に来た時、獣医の学生実習でよく遊んでもらっていた頃を思い出して、涙を流さずには見られない悲しい気持ちで付き合いました。しかし、花子の懸命な努力の甲斐もなく、翌8日のお昼頃、リリーは花子にみとられて静かに息を引き取りました。
この花子とリリーは親子でも兄弟でもなく、全く血の繋がりはありません。
今、円山動物園には、ゾウが居ない寂しい状態です。早くあの「大きくて優しい生き物」を子供たちに見せてあげたいものです。

元札幌市円山動物園園長 長尾章郎


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